()綾瀬慎介(()勝野洋)はリトル文庫〈小樽・()恋シリーズ〉と呼ばれる一連の少女小説の()人気作家であった()が、コンビを組んでいた友人の挿絵画家・紀宮(ベンガル)の突然の死()をきっかけに、少年期のある忌まわしい記憶から逃れるようにして訪れることのなかった小樽の地を十数年ぶりに踏んだ。そこで慎介は()、()はるか(石田ひ()かり())()という彼の小説のファンの少女に出会い、彼女の案内で現()在の小樽を訪ねるが、二人の行く()手には影のようにつ()きまとう古風な服装の少年がいた。ある日、つきまとっていた少年は二人の前に現()れ、佐藤弘(()松田洋治)と名乗()る。それは慎介の本名であった。彼は()高校時代の自分自身だったのだ。弘によ()って慎介は、高校時代に三好遥子()という少女が好きだったこと、全く売れない作家だった父・統策のこと、娼婦として働いていた母のことなどを思い出し、三人は慎介の失われた過去の記憶()と対峙する心の旅を()続けていく。娼家から出た遥子を目撃した弘は、彼女に確かめることもな()くただ一度きりの関係()の際に『売女』となじったのだった……。そしてまた、はるかも自分が三好遥子の娘であることを知る。互いの気持ちを確認し、慎介とはるかは一度きり結ばれる……。現代にやっ()て来た高校時代の弘は、また自分の時代へ()戻っていく。そうして慎介は()、今こそ本()名の佐藤弘として生きていくのだった。...
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